ヒナフキンの縄文ノート

スサノオ・大国主建国論から遡り、縄文人の社会、産業・生活・文化・宗教などの解明を目指します。

縄文ノート169 東西ストーンサークル文明:「ストーンヘンジ」と「阿久(あきゅう)・阿久尻(あきゅうじり)遺跡」

 不思議なことに、ユーラシア大陸の西端のイングランド島と東端の日本列島に、ほぼ同じ時期にストーンサークル文明がおこっています。しかも、どちらにも石器・巨石文明の前に木器・巨木文明があったことが明らかとなっています。

 世界から160万人/年の観光客を集めるイギリスのストーンヘンジに対し、西のストーンサークル文明はやっと北海道・北東北縄文遺跡群が世界遺産登録されたところです。

 私は「縄文ノート49 『日本中央縄文文明』の世界遺産登録をめざして」から「166 日本中央部縄文文明世界遺産登録への研究課題」などで、何度か長野県の阿久(あきゅう)・阿久尻(あきゅうじり)遺跡を取り上げてきましたが、「東のストーンヘンジ、西の阿久(あきゅう)・阿久尻(あきゅうじり)遺跡」と言える価値があると考えています。

 特に「阿久・阿久尻遺跡」はアフリカから始まった死者の霊(ひ:魂)が天に昇るという神山天神信仰(神名火山(神那霊山)信仰)を示す重要な遺跡であり、「日本中央部縄文遺跡群の世界遺産登録」へ向けたシンボル施設として国営歴史公園化が望まれます。

 「縄文ノート166 日本中央部縄文文明世界遺産登録への研究課題 230429」とレジュメ「阿久(あきゅう)・阿久尻(あきゅうじり)遺跡の巨木建築・縄文文化コンテスト(第1案)230331」をもとに、「日本中央部縄文遺跡群の世界遺産登録」へ向けたシンボル施設として、阿久・阿久尻遺跡の国営歴史公園化に向けた巨木建築の復元への提案をまとめてみました。

 なお、阿久遺跡(原村)と阿久尻遺跡(茅野市)はその間に遺跡がなく、時代もわずかに異なりますが、どちらも広域的な共同祭祀・集団墓遺跡であり、国営歴史公園として一体的な整備を目指すべきと考えます。

 

1 西の「ストーンヘンジ」と東の「阿久(あきゅう)・阿久尻(あきゅうじり)遺跡」

 阿久遺跡については中央自動車道で寸断され、阿久・阿久尻遺跡とも埋め戻されており、これまでほとんど知られていない状態ですが、私は現代まで続く神名火山(神那霊山)信仰や御柱祭りのルーツとして世界の新石器時代の宗教・文明の解明に重要な役割を果たす遺跡として、世界遺産登録の価値があると考えています。

 「巨石文明を示す西のストーンヘンジ」に対し、「巨木文明を示す東の阿久・阿久遺跡」として、日本中央部世界遺産登録の中心施設として整備を進めるとともに、農学や宗教学、建築学などを含めた総合的な研究が求められます。

 

2.方形柱列痕からの復元案コンペの提案

⑴ 「列柱説」「見張り台説」と「楼観神殿説」 

 これまで縄文巨木柱列痕については、「列柱説(御柱説)」「高床式建物説」「見張り台説」「神殿説(梅棹忠夫)」がありましたが、私は「楼観神殿説」に達しました。―縄文ノート「33 『神籬(ひもろぎ)・神殿・神塔・楼観』考」「50 縄文6本・8本巨木柱建築から上古出雲大社へ」「104 日本最古の祭祀施設―阿久立石・石列と中ツ原楼観拝殿」「105 世界最古級の阿久尻遺跡の方形巨木柱列」「106 阿久尻遺跡の方形柱列建築の復元へ」参照

 

 

⑵ 「復元案コンペ」の提案 

 中ツ原遺跡(茅野市)と三内丸山遺跡青森市)の専門家達による巨木列柱痕の復元案をみると、①中ツ原と三内丸山の巨木施設は同じ役割なのか違うのか、②中ツ原遺跡の巨木列柱痕は神域を示す4本の御柱を建て換えて8本になったのか、それとも8本建築なのか、③高床式建物(倉庫を想定)は細い柱なのになぜ巨木なのか、④見張り台なら1本・2本・3本・4本柱などで数人が昇れればいいのになぜ6本、8本柱なのか、⑤三内丸山威遺跡の高床式建物の復元には屋根があるのになぜ6本柱巨木建築には屋根がないのか、など疑問だらけです。

  

 この際、一部の専門家に任せるのではなく、世界遺産登録運動を盛り上げるためにも、広く、復元案のコンペを行って復元案を検討することを提案したい思います。

⑶ 前提条件

 ① 原村の阿久遺跡(環状列石と方形木柱列、8基の方形木柱列、中央広場の立石・石列)と茅野市の阿久尻遺跡(20の方形木柱列)は同じ蓼科山(女神山)信仰の共同墓地・祭祀遺跡と考える。

 ② 阿久・阿久尻遺跡はこの地をルーツとし、諏訪地域に広がった部族集団の共同墓地・祭祀遺跡の可能性が高い。

 ③ この地では神社や祠などを囲んで4本の巨木を建てる御柱祭が行われている。

 

3.復元案コンペの実施例

⑴ 競技内容

「阿久尻遺跡の縄文巨木建築復元案(1基の復元案)」と「阿久・阿久尻遺跡を中心とした縄文人の生活・宗教・社会像案」の2つの総合的なハード・ソフトのプレゼンを若者のアイデアで競う。

⑵ 対象

 世界の高校生・大学生・市民などの若者グループ

⑶ 表現方法

 巨木列柱痕からの縄文巨木建築の復元案(図面・模型など)と、両遺跡で人々が行った共同祭祀の提案(文章・イラスト・パフォーマンスなど)というハード・ソフトの提案を映像で行う。

⑷ 審査

 ① 予備コンテスト―8分の映像(審査員評価+ネット投票)

 ② 本コンテスト―10選抜チームは会場で10分のプレゼンを行う(審査員評価)

⑸ 参加チームへの支援

 ① 予備コンテスト参加チーム:映像作成費補助

 ② 本コンテストチーム:プレゼン大会出場交通・宿泊費補助

 ③ 優勝・準優勝チーム:賞金

⑹ 実施体制

 主催 実行委員会

 後援 茅野市、原村、富士見町、諏訪市下諏訪町・長和町、長野県、文化庁

   国土交通省 環境省、NHKなど

 協賛 建設・建築・環境・観光会社

 PR体制 「高専 & 学生 & 小学生ロボコン」(NHK)のようなコンテストに

 

□参考□

<本>

 ・『スサノオ大国主の日国(ひなのくに)―霊(ひ)の国の古代史―』(日向勤ペンネーム)

 ・『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(アマゾンキンドル本)

<雑誌掲載文>

 2012夏「古事記」が指し示すスサノオ大国主建国王朝(『季刊 日本主義』18号)

 2014夏「古事記播磨国風土記が明かす『弥生史観』の虚構」(前同26号)

 2015秋「北東北縄文遺跡群にみる地母神信仰と霊信仰」(前同31号)

 2017冬「ヒョウタンが教える古代アジア”海洋民族像”」(前同40号)

 2017冬「スサノオ大国主建国論1 記紀に書かれた建国者」(『季刊山陰』38号)

 2018夏「スサノオ大国主建国論2 「八百万の神々」の時代」(『季刊山陰』39号)

 2018夏「言語構造から見た日本民族の起源」(『季刊 日本主義』42号)

 2018夏「スサノオ大国主建国論3 航海王・スサノオ」(『季刊山陰』40号)

 2018秋「『龍宮』神話が示す大和政権のルーツ」(『季刊 日本主義』43号)

 2018冬「海洋交易の民として東アジアに向き合う」(前同44号)

 2019春「漂流日本」から「汎日本主義」へ(前同45号)

<ブログ>

 ヒナフキンスサノオ大国主ノート https://blog.goo.ne.jp/konanhina

 帆人の古代史メモ          http://blog.livedoor.jp/hohito/

 ヒナフキン邪馬台国ノート      http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/

 霊(ひ)の国の古事記論       http://hinakoku.blog100.fc2.com/