日本中央部縄文文明を世界にアピールするためには、これまでの各地域・各分野の取り組みを世界的にアピールできるようまとめあげることが必要であり、私の仮説検証型の提案などについてもさらに掘り下げる必要があります。
縄文社会研究会・東京としても、さらに各遺跡・各分野の研究者・市民との交流を深めたいと考えます。
1.日本中央部のこれまでの主な縄文研究・市民活動
⑴ 長野県
① 考古学:諏訪考古学3巨人(1930年からの尖石・与助尾根遺跡発掘の宮坂英弌(ふさかず)、1953年からの尖石・与助尾根遺跡、井戸尻遺跡発掘の藤森栄一、1955年からの鷹山黒耀石原産地遺跡群発掘の児玉司農武(しのぶ))、1984年からの明治大学の黒曜石研究と2000年の明治大学黒耀石研究センターの設置など各大学の取り組みなど。各地の縄文博物館も充実。
② 民俗学:古部族研究会(野本三吉・北村皆雄・田中基)、宮坂光昭、今井野菊、守矢早苗ほか
③ 神話学:山本ひろ子(『諏訪学』)、田中基ほか
④ 建築:縄文建築団(藤森昭信)
⑤ 市民活動:八ヶ岳 jomon 楽会(原村)、縄文女子カフェ(茅野市)、など
⑵ 新潟県
① 芸術:岡本太郎(火焔型土器を芸術品として広く紹介)
② 考古学:近藤勘治郎・篤三郎親子らによる馬高遺跡(長岡市)の発掘や小林達雄らの縄文土器研究、長者ケ原遺跡(糸魚川市)のヒスイ宝飾品生産、新潟県立歴史博物館のおこげ分析など。各地の縄文博物館も充実。
⑶ 群馬県
① 考古学:榛東村耳飾り館(土製耳飾り577点を中心に世界の耳飾りを展示)
② 民俗学:片品村の赤飯投げ神事、金精信仰(女体山(日光白根山)に男が金精を奉納、十二様(山の神)に男が性器型すいとん(ツメッコ)を奉納)
⑷ 山梨県
① 考古学:女神信仰を示す津金御所前遺跡から出土した「出産文土器」や鋳物師屋遺跡の「子宝の女神 ラヴィ」など
2.縄文社会研究会・東京の縄文研究の新たな視点
⑴ 縄文社会研究から世界史解明へ
① 進化論とDNAからの縄文人起源論:「アフリカ西海岸→南インド→アジア温帯高原→日本列島」
② 西アフリカ熱帯原産のヒョウタンの鳥浜(若狭)・三内丸山(青森)遺跡への移動ルート
③ 人類誕生からの糖質(イモ・マメ・5穀)・魚介類の土器鍋の縄文食論
④ 言語からの縄文人論:「SOⅤ(主語-目的語-動詞)」言語族、「倭音倭語・呉音漢語・漢音漢語」3層構造、倭音倭語ドラヴィダ語起源説
④ 縄文宗教論:南インド・東南アジア由来の可能性のあるピー(霊)信仰(神山天神信仰、神籬(霊洩木)信仰、女神信仰)
⑵ 縄文社会からのスサノオ・大国主7代の古代国家建国の解明
① 縄文人の貝・黒曜石・ヒスイの対馬暖流交易から、海人族スサノオ・大国主一族の米鉄南北交易へ
② 縄文時代から妻問夫招婚によるスサノオ・大国主7代の百余国の建国、さらに邪馬壹国、飛鳥・奈良・平安時代(高群逸枝の招婿婚・妻問婚研究)へと続く母系制社会
③ 縄文の神山天神信仰から八百万神の神名火山(神那霊山)信仰・神籬(霊洩木)信仰へ
④ 中ツ原・阿久尻遺跡巨木建築から、48mの古出雲大社、邪馬壹国・吉野ヶ里・原の辻遺跡楼観へ
⑶ 現代に続く縄文文化の解明と未来への提案
① 糖質・DHA食の土器鍋健康食
② 森林を活かした持続的発展可能な水田農業と焼畑農業、沿岸漁業
③ アジアの照葉樹林帯文化を引き継ぐジャポニカ米・赤飯・もち・納豆・ソバ食文化
④ 神社、屋敷神、神棚などにみられる霊(ひ)信仰(祖先霊信仰)と神名火山(神那霊山)崇拝
⑤ 巨木、出雲大社などの心御柱、住宅の大黒柱、仏塔の心柱、御柱に見られる神籬(霊洩木)信仰
⑥ 漁師社会などに見られる母系制社会の名残
3.世界遺産登録へ向けた研究課題
⑴ 縄文文化・文明論
①現状
ア 西欧中心史観の「カルチャー(文化)」「シビライゼーション(文明)」の時代区分による「縄文未開段階説」
イ 梅原猛・安田喜憲の「森林文明論」、川勝平太の「海洋文明論」
②課題
ⅰ 物(農耕・道具・建物・都市等)と心(宗教、芸術、教育等)と社会(言語・家族・氏族等)からの総合的な時代区分の検討
ⅱ 肉食・狩猟進歩史観」対「3歳までの糖質・DHA食進歩史観」
ⅲ 男性進化史観(武器・戦争進化論)」対「女性・子ども進化史観(採集・栽培・漁労・共同子育て・歌とおしゃべり進化論)」
ⅳ アフリカからの縄文人移動の解明(DNA・言語・穀類・ヒョウタン・ウリの伝播など)
ⅴ 八ヶ岳山麓縄文文明全体像の解明(宗教、農耕・漁労・狩猟、居住形態、黒曜石、塩など)
ⅵ 縄文人の海人(あま)族性と山人(やまと)族性の解明
ⅶ 「竪穴式住居・高床式住居」南方起源説の解明
⑵ 縄文農耕論
①現状
ア 「諏訪縄文農耕論」の井戸窪遺跡の石器農具論からの停止
イ 骨・おこげの炭素・窒素同位体比分析、土器圧痕、花粉、穀類ルーツ研究などの前進
ウ 焼畑でのイモ・マメ・ソバ・陸稲栽培、水辺水稲栽培などの未解明
エ 雛元仮説
a 縄文土器鍋の縁飾りは水蒸気が天に昇る沸騰・泡・吹きこぼれを表現
b ドラヴィダ族のポンガ食祭(カラスに赤米粥を与える)の長野・新潟・茨城・秋田・青森の「ホンガ、ホンガラ」神事や群馬の赤飯投げ神事への伝播
c 倭音倭語の宗教語・農耕語ドラヴィダ語ルーツ説(大野晋説)
d 縄文農耕は焼畑・水辺田のイモ栽培(イモ祭り等)
e 大量の黒曜石の鏃製造・流通と落とし穴猟は縄文農耕の鳥獣害対策
f 肉食進化説から糖質・DHA食進化説へ
②課題
ⅰ 諏訪の縄文土器おこげ分析と再現実験、花粉分析からのイモ・マメ・ソバ食と土器鍋料理文化の解明(クリ・ドングリ主食論からの脱皮)
ⅱ 小正月のカラス神事から鳥追い行事に変わった長野県南安曇郡の「ホンガラ」のルーツの解明
ⅲ 黒曜石鏃と縄文農耕の関連付け(鳥獣害対策説)
ⅳ 人類大移動と黒曜石文化伝播ルートの解明
ⅴ 塩確保の解明(土器鍋製塩交易との時代的なズレ)
⑶ 神山天神信仰論
①現状
ア 蓼科山(女神山)のヒジン(霊神)信仰説は未認知
イ 阿久遺跡の環状列石は中央自動車道で分断、破壊
ウ 阿久遺跡と阿久尻遺跡の一体的分析・アピールなし
オ 西洋中心史観の一神教からの未開宗教論「自然宗教・アニミズム・マナイムズ信仰」に追随
②課題
ⅰ 世界に普遍的に存在した「ひ(霊):ピー・ピャー・ピュー」(神=祖先霊)信仰の位置づけ
ⅱ 世界遺産登録のシンボル施設として世界最古級の阿久(立石・石列・環状列石)・阿久尻遺跡(巨木建築)の復元(国営歴史公園化)
ⅲ 世界にアピールする「阿久・阿久尻遺跡博物館」(遺跡立地)の提案―魂魄分離の神山天神信仰のアフリカからの伝播の展示
⑷ 母系制社会論
①現状
ア 蓼科山=女神山と「仮面の女神」「縄文のビーナス」、妊婦土偶、石棒、巨木建築、御柱祭の統一的な宗教分析なし
イ 女神の依り代である石棒の男系社会解釈(群馬県片品村では男が女体山に金精を捧げる)
ウ 世界の妊娠土偶・女神信仰との関連付け展示なし
エ 人類・縄文人起源論とクリ・ドングリ主食論の矛盾(ヒョウタン・ウリだけ持ってきたのか?)
オ 縄文母系制社会論なし
②課題
ⅰ 人類起源論からの縄文母系制社会の解明
ⅱ 世界標準としての縄文女神信仰の位置づけ
ⅲ 母系制社会を示す女神山、仮面の女神、縄文のビーナス、妊婦土偶、石棒などの統一的な展示
ⅳ 世界にアピールする「女神(めのかみ)博物館」が必要(既存博物館のリニューアルを含め)
<主な参考資料:はてなブログ「ヒナフキンの縄文ノート」>
―古いものは未修整のままの誤りもあります。
⑴ 縄文文化・文明論
① 縄文人ルーツ論
43 DNA分析からの日本列島人起源論 201002→210115
45 縄文人ドラえもん宣言(ドラヴィダ系海人・山人族宣言) 201015→210123
62 日本人のルーツは「アフリカ高地湖水地方」 210316
70 縄文人のアフリカの2つのふるさと 210422
152 朝鮮ルート、黒潮ルートか、シベリアルート、長江ルートか? 220918
② 縄文語(倭音倭語)ルーツ論
41 日本語起源論と日本列島人起源説 200918→210112
42 日本語起源論抜粋 210113
153 倭語(縄文語)論の整理と課題 220928
③ 文化・文明論
8 「石器―土器―金属器」の時代区分を世界へ 150723→0816
48 縄文からの「日本列島文明論」 200729→210228
51 縄文社会・文明論の経過と課題 200926→210204
58 多重構造の日本文化・文明 210222
113 道具からの縄文文化・文明論 211208
159 縄文1万5千年から戦争のない世界へ 230203
164 女と男の「民主主義・平和・宗教」 230413
④ 世界遺産登録論
9 祖先霊信仰(金精・山神・地母神信仰)と神使文化を世界遺産に 200302
49 「日本中央縄文文明」の世界遺産登録をめざして150923→210230
59 日本中央縄文文明世界遺産登録への条件づくり 210226
77 「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界文化遺産登録の次へ 210603・04・08
82 縄文文明論の整理から世界遺産登録へ 210626
160 「日本中央部縄文遺跡群」の世界遺産へ向けて 230128→0206
161 「海人族旧石器・縄文遺跡群」の世界遺産登録メモ 230226
⑵ 縄文農耕論
① 縄文食論
29 「吹きこぼれ」と「お焦げ」からの縄文農耕論 201123→1218
30 「ポンガ」からの「縄文土器縁飾り」再考 201220→1221
40 イモ食進化説―ヤムイモ・タロイモからの人類誕生 220603
111 9万年前の骨製銛からの魚介食文明論 211128
141 魚介食進化説:イモ・魚介、ときどき肉食 220611
142 もち食のルーツは西アフリカ 220619
② 農耕起源論
5、25 「人類の旅」と「縄文農耕」と「3大穀物単一起源説」 140613→201213
26 縄文農耕についての補足 200725→1215
27 縄文の「塩の道」「黒曜石産業」考 200729→1216
28 ドラヴィダ系海人・山人族による日本列島稲作起源説 201119→1217
55 マザーイネのルーツはパンゲア大陸 210211
109 日本列島そば好きラインー蕎麦と焼畑 211121
⑶ 神山天神信仰論
① 霊信仰論
9 祖先霊信仰(金精・山神・地母神信仰)と神使文化を世界遺産に 200302
10 大湯環状列石と三内丸山遺跡が示す地母神信仰と霊(ひ)信仰 200307
34 霊(ひ)継ぎ宗教論(金精・山神・地母神・神使)
38 「霊(ひ)」とタミル語peeとタイのピー信仰 201026→210108
74 縄文宗教論:自然信仰と霊(ひ)信仰 210518
128 チベットの「ピャー」信仰 220323
132 ピュー人(ミャンマー)とピー・ヒ信仰 220404
② 神山天神信仰論(神名火山(神那霊山)信仰論)
35 蓼科山を神名火山(神那霊山)とする天神信仰 200808→1228
40 信州の神名火山(神那霊山)と「霊(ひ)」信仰 201029→210110
44 神名火山(神那霊山)信仰と黒曜石 201014→210120
56 ピラミッドと神名火山(神那霊山)信仰のルーツ 210213
57 4大文明論と神山信仰 210219
61 世界の神山信仰 210312
158 ピラミッド人工神山説:吉野作治氏のピラミッド太陽塔説批判 230118
③ 神木論(神籬(霊洩木)信仰論)
33 「神籬(ひもろぎ)・神殿・神塔・楼観」考 200801→1226
78 「大黒柱」は「大国柱」の「神籬(霊洩木)」であった 210611
④ 神塔論
50 縄文6本・8本巨木柱建築から上古出雲大社へ 200207→210203
104 日本最古の祭祀施設―阿久立棒・石列と中ツ原楼観拝殿 211025
105 世界最古の阿久尻遺跡の方形巨木柱列群 211030
106 阿久尻遺跡の方形柱列建築の復元へ 211107
⑷ 母系制社会論
①人類起源論
81 おっぱいからの森林農耕論 210622
85 「二足歩行」を始めたのはオスかメス・子ザルか 210713
87 人類進化図の5つの間違い 210724
88 子ザルからのヒト進化説 210728
89 1段階進化論から3段階進化論へ 210808
150 人類・イネ科と恐竜の起源はアフリカ(パンゲア大陸) 220909
② 女神信仰論
32 縄文の「女神信仰」考 200730→1224
73 烏帽子(えぼし)と雛尖(ひなさき) 210510
96 女神調査報告1 金生遺跡・阿久遺跡
98 女神調査報告2 北方御社宮司社・有賀千鹿頭神社・下浜御社宮司神社 210924
99 女神調査報告3 女神山(蓼科山)と池ノ平御座岩遺跡 210930
100 女神調査報告4 諏訪大社下社秋宮・性器型道祖神・尾掛松 211003
101 女神調査報告5 穂高神社の神山信仰と神使 211008
102 女神調査報告6 石棒・男根道祖神 211213
③ 母系制社会論
75 世界のビーナス像と女神像 210524
86 古代オリンピックとギリシア神話が示す地母神信仰 210718
91 台湾・卑南族と夜這い・妻問夫招婚の「縄文1万年」 181201→190308→210823
92 祖母・母・姉妹の母系制 210826
116 独仏語女性語からの母系制社会説 211216
126 「レディ・サピエンス」と「女・子ども進化論」 220307
148 「地・姓・委・奴・卑」字からの母系社会論 220827
151 「氏族社会」から「母族社会」へ 220915