ヒナフキンの縄文ノート

スサノオ・大国主建国論から遡り、縄文人の社会、産業・生活・文化・宗教などの解明を目指します。

縄文ノート161 「海人族旧石器・縄文遺跡群」の世界遺産登録メモ

 「日本中央部縄文遺跡群」は、採集栽培・漁労・狩猟の土器鍋食による、豊かで平和な1万数千年の妻問夫招婚による霊(ひ)信仰の母系制定住社会を示しており、その文化は現代まで色濃く引き継がれているとして、世界遺産として新規登録申請の提案を行いました。しかしながら、すっぽりと抜け落ちているテーマがあり、新たに「海人族旧石器・縄文遺跡群」の世界遺産登録申請にむけてメモしました。

 表1は「世界遺産登録ランキング2021」で、世界各国の先史時代の文化遺産について詳しい分析はまだ行っていませんが、旧新石器時代(日本では石器・土器時代)から古代国家形成(日本ではスサノオ大国主建国)にかけての母族社会(母系制社会)の解明では日本は世界をリードすべきであると考えており、さらに世界遺産登録を進めるべきと考えます。

       

1 経過

 鳥浜貝塚ニジェール川流域が原産のヒョウタンは、私が縄文人「海の道」移動説・熱帯雨林人類起源説にたどり着いた原点であり、縄文社会研究会で「日本中央部縄文遺跡群」を議論した時に、鳥浜貝塚を含めた提案ができないかという意見が出されました。

 その時、私は「海人族縄文遺跡群」として別にグループができないかとの意見でしたが、若狭に関わりのある後輩から地域おこしのアイデアがないかと意見を求められ、鳥浜貝塚が人類拡散が熱帯にそった「海の道」なのか、それとも大型動物を追った草原地帯なのか、人類拡散のルーツ解明において世界的価値がある遺跡と考える私は、不十分な知識の範囲からですが、ここに「海人族旧石器・縄文遺跡群」の世界遺産登録提案のための最初のステップとなるメモをまとめてみました。

 

2 「海人族旧石器・縄文遺跡群」の価値

 表2に私の乏しい知識の範囲で、「海人族旧石器・縄文遺跡群」をピックアップしてみました。

 世界最古の釣り針が発見された沖縄のサキタリ洞窟遺跡、丸木舟製作用の丸ノミ石斧が発見された琉球奄美から鹿児島の栫ノ原遺跡にかけて遺跡、海上移動に欠かせない縄文人の水・種子・種イモ容器であるヒョウタンが発掘された若狭の鳥浜貝塚琉球から北海道にかけての海洋交易を示す貝輪・ヒスイ・黒曜石・土器の遺跡群、海人族の生活を示す各地の貝塚などの「海人族旧石器・縄文遺跡群」は、アフリカの熱帯雨林を出て頭脳の発達に欠かせない糖質・DHAの豊富なイモ・魚介食を確保できる「海の道」を通り、世界に拡散した海人族の石器時代(旧石器・土器時代)の海洋交易民文明の解明に寄与するものであり、持続的発展可能な「文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証」を示す世界遺産としての価値があると考えます。

 なお、世界遺産として「顕著な普遍的価値(Outstanding Universal Value)」の評価基準のうち、2021年の「北海道・北東北の縄文遺跡群」や「日本中央部縄文文明」の提案と較べ、海人族旧石器・縄文遺跡群は新規性があり、追加登録ではなく異なる場所・空間に共通する文化・文明として新規登録に該当すると考えています。

 これらの遺跡群については私の系統的な知識は乏しく、また姫島・隠岐神津島の黒曜石や糸魚川のヒスイなど運ばれた先の縄文遺跡において博物館や体験活動などの取り組みがあるのかどうか、また、三内丸山遺跡やチカモリ遺跡・真脇遺跡など、北海道・北東北の縄文遺跡群や日本中央部部縄文遺跡群と重複するものをどうするかなど、今後の検討課題です。

 西欧中心史観のサバンナ人類起源の「肉食進化キン肉マン説」「石器進化説」の「草原の道人類拡散説」に対して、熱帯雨林人類起源の「イモ・魚介食進化説」「木骨器進化説」の「海の道人類拡散説」を提案するものであり、新たなアフリカ・東洋中心文明史観を提案したいと思います。

 

 

<参考:はてなブログ「ヒナフキンの縄文ノート>

25 「人類の旅」と「縄文農耕」、「3大穀物単一起源説」

27 縄文の「塩の道」「黒曜石産業」考

65 旧石器人のルーツ

111 9万年前の骨製銛からの魚介食文明論

144 琉球の黒曜石・ヒスイ・ソバ・ちむどんどん

 

□参考□

<本>

 ・『スサノオ大国主の日国(ひなのくに)―霊(ひ)の国の古代史―』(日向勤ペンネーム)

 ・『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(アマゾンキンドル本)

<雑誌掲載文>

 2012夏「古事記」が指し示すスサノオ大国主建国王朝(『季刊 日本主義』18号)

 2014夏「古事記播磨国風土記が明かす『弥生史観』の虚構」(前同26号)

 2015秋「北東北縄文遺跡群にみる地母神信仰と霊信仰」(前同31号)

 2017冬「ヒョウタンが教える古代アジア”海洋民族像”」(前同40号)

 2017冬「スサノオ大国主建国論1 記紀に書かれた建国者」(『季刊山陰』38号)

 2018夏「スサノオ大国主建国論2 「八百万の神々」の時代」(『季刊山陰』39号)

 2018夏「言語構造から見た日本民族の起源」(『季刊 日本主義』42号)

 2018夏「スサノオ大国主建国論3 航海王・スサノオ」(『季刊山陰』40号)

 2018秋「『龍宮』神話が示す大和政権のルーツ」(『季刊 日本主義』43号)

 2018冬「海洋交易の民として東アジアに向き合う」(前同44号)

 2019春「漂流日本」から「汎日本主義」へ(前同45号)

<ブログ>

 ヒナフキンスサノオ大国主ノート https://blog.goo.ne.jp/konanhina

 帆人の古代史メモ          http://blog.livedoor.jp/hohito/

 ヒナフキン邪馬台国ノート      http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/

 霊(ひ)の国の古事記論       http://hinakoku.blog100.fc2.com/