ヒナフキンの縄文ノート

スサノオ・大国主建国論から遡り、縄文人の社会、産業・生活・文化・宗教などの解明を目指します。

縄文ノート107 ドーパミンからの人類進化論―窮乏化進化か快適志向進化か

 ユダヤ教キリスト教イスラム教などの「終末論」や仏教の「末法論」、マルクス主義の「窮乏化革命論」などの影響かもしれませんが、サルは地球寒冷化による熱帯雨林の食料危機により、サバンナに出て二足歩行を始め、槍という石器道具を手に入れ、肉食によって脳を発達させて人間になった、という進化説が広く信じられています。

 このような「人類滅亡論」からの「危機回避進化史観」「肉食脳発達史観」「闘争・戦争進化史観」「オス主導進化説」の文明発達史観に対して、私は「熱帯雨林人類誕生説」「浸水漁撈二足歩行説」「糖質・魚介食脳発達説」「母子・メス言語コミュニケーション脳発達説」「子育て家族・氏族社会形成説」「共同・和平進化説」「快適環境移住説」「メス子主導進化説」などを提案してきました。

 「プッシュ要因説」(窮乏化進化説)に対し、私は肉体的には弱いが言語コミュニケーション能力が高く、好奇心・探求心と冒険心が旺盛で美食志向の革新的なメスサルと子ザルが熱帯雨林の地上や沼で糖質・DHA・タンパク質を食べて脳を発達させ、二足歩行と道具使用能力を獲得し、火山や落雷火災から火の使用を覚え、マラリアなどを避けて高地湖水地方からサバンナに移住して人類となった、という「プル要因説」(快楽志向進化説)を主張してきました。

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 このような私の主張について、ドーパミン研究から新たなヒントがありましたのでこに紹介しておきたいと思います。

 NHK再放送の司会:織田裕二井上あさひ、ゲスト:いとうせいこう、解説:坂上雅道玉川大学脳 科学研究所所長さんらの「ヒューマニエンス 40億年のたくらみ―“快楽” ドーパミンという天使と悪魔」の9月9日再放送の録画をやっと見ることができ、大いに刺激を受けました。

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2.トーパミン(幸せホルモン)がもたらしたグレートジャーニー

 ドーパミンについて、ウィキペディアは「中枢神経系に存在する神経伝達物質で、アドレナリン、ノルアドレナリンの前駆体でもある。運動調節、ホルモン調節、快の感情、意欲、学習などに関わる」「中脳皮質系ドーパミン神経は、とくに前頭葉に分布するものが報酬系などに関与し、意欲、動機、学習などに重要な役割を担っていると言われている。新しい知識が長期記憶として貯蔵される際、ドーパミンなどの脳内化学物質が必要になる」としています。

 このような一般的な知識とともに、「幸せホルモン」「報酬系」などという言葉を聞いたことのある人も多いと思います。

 私がこの「“快楽” ドーパミンという天使と悪魔」の番組で特に面白いと思ったのは、河田雅圭(まさかど)東北大教授によれば、アフリカを出た人類はドーパミンの放出量が多く不安を感じにくくなる136番目の遺伝子が「T→I変異」を起こしている、というのです。

 

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 ドーパミン放出量が多く不安傾向の少ないタイプはアフリカの人たちには1割以下に対し、アフリカ出て大移動(グレートジャーニー)を行ったアジアやヨーロッパの人たちは1/3ほどに増え、アメリカに渡った人たちには半数前後の人たちもいます。

 

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 さらに、山田真希子量子科学技術研究開発機構脳機能イメージング研究部グループリーダーによれば、「自己評価の度合いが平均より高い人ほどドーパミンの放出量が多く、危険なことでも頑張ってやってみよういう傾向が強く、知らない土地への冒険心を支えた」というのです。

 

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 私は「縄文ノート88 子ザルからのヒト進化説」において、子どもの頃に母から「おっちょこちょい」とさんざん怒られた恥ずかしい体験を告白してきましたが、クラスで1割ほどいた無鉄砲で新しい冒険をせずにはおれないアホなことをしてしまう馬鹿たちがアフリカを飛び出し、転々として日本列島にたどり着いたのではないかと考えてきたことが、どうやらドーパミン過剰のせいであったと裏付けられたように思います。

 思い出すと、皆が危険だからと制止してもきかず、蛇を見つけると捕まえて地面にたたきつけて殺してしまう同級生や、山で新しいものを見つけると必ず食べてみないと気がすまない同級生がいましたが、彼らみたいなタイプのサルが樹上の果物などには飽き足らず、地上に降りて蛇やトカゲ・カエル・ワニやイモ類などを食べ始めたのだと思います。

 
3.トーパミン(幸せホルモン)がもたらした共感性

 さらに理化学研究所中原裕之学習理論・社会脳研究チームリーダーは、fMIR(ファンクショナルMIR:磁気共鳴画像診断装置)により被験者が他人の気持ちを考えている時の脳の活動を観察し、「普遍的な人類愛とか社会的な他者への振る舞い、他人の心を読み取る能力の発達に(ドーパミンは)効いており、共感力をもたらし、ドーパミンが生む快楽が人々をつないでくれる」としています。

 

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 ドーパミンはサルの快楽・快適志向や探検・冒険意欲を高め人類の誕生と拡散に大きな役割を果たすとともに、人類の家族愛や氏族・部族の共同力を高め、農耕や都市づくりなど文明の誕生を促したのです。

 

4.「競争・戦争進歩史観」の見直しへ

 地球温暖化・気候変動、コロナウィルスなどの新興感染症、食料危機、格差拡大などに対し、終末思想の『新世紀エヴァンゲリオン』『進撃の巨人』『鬼滅の刃』などのアニメから「人新世」などの「新世紀もの」まで、「生き残りをかけた戦い」が煽られていますが、このような時代だからこそ神が作ったのではない、サルからの人類の誕生を見直してみるべきではないでしょうか?

 2015年9月18日のナショナルジオグラフィックのニュースの『ヒトはなぜ人間に進化した? 12の仮説とその変遷』は「1.道具を作る、2.殺し屋(常習的に殺りくをする攻撃性)、3.食料を分かち合う、4.裸で泳ぐ、5.物を投げる、6.狩る、7.食べ物とセックスを取引する、8.肉を(調理して)食べる、9.炭水化物を(調理して)食べる、10.二足歩行をする、11.適応する、12.団結し、征服する」をあげています。

 「2.殺し屋」「6.狩る」「8.肉を(調理して)食べる」「12.団結し、征服する」など、トルコ南東部(古代シリア北部)の遊牧民であったユダヤ人がカナン(現在のイスラエル)の住民を抹殺して建国した歴史を受け継いだユダヤキリスト教右派系の西欧中心主義の「闘争・狩猟・肉食・戦争征服史観」を全面的に見直す1つの分析としてNHKオンデマンドで「ヒューマニエンス 40億年のたくらみ―“快楽” ドーパミンという天使と悪魔」の「ドーパミン進化説」を見ていただければと思います。

 

<参考:これまでの「ヒナフキンの縄文ノート」の進化説>

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□参考資料□

<本>

 ・『スサノオ大国主の日国(ひなこく)―霊(ひ)の国の古代史―』(日向勤ペンネーム)

 ・『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(アマゾンキンドル本)

<雑誌掲載文>

 2017冬「ヒョウタンが教える古代アジア”海洋民族像”」(『季刊 日本主義』40号)

 2018夏「言語構造から見た日本民族の起源」(『季刊 日本主義』42号)

 2018冬「海洋交易の民として東アジアに向き合う」(『季刊日本主義』44号)

 2019春「漂流日本」から「汎日本主義」へ(『季刊 日本主義』45号)

<ブログ>

  ヒナフキンスサノオ大国主ノート https://blog.goo.ne.jp/konanhina

  ヒナフキンの縄文ノート https://hinafkin.hatenablog.com/

  帆人の古代史メモ    http://blog.livedoor.jp/hohito/

  邪馬台国探偵団         http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/

  霊(ひ)の国の古事記論 http://hinakoku.blog100.fc2.com/