ヒナフキンの縄文ノート

スサノオ・大国主建国論から遡り、縄文人の社会、産業・生活・文化・宗教などの解明を目指します。

「縄文ノート88 子ザルからのヒト進化説」の補足修正3 

 次男一家の保育所でコロナ感染者がでて、2週間休園(批判が多かったとみえて1週間に変更)になり、PCR検査で陰性後にリモートワークのある親たちの一家5人がやってきて手をとられ、しばらくまとまった原稿は書けませんでした。

 「縄文ノート90 母系(母権)制社会からの人類進化」は途中で中断していますが、気になった2点、サルたちの子育て協力と、エジプト・メソポタミアの母系(母権)制について、先に縄文ノート88と86を補足修正しておきたいと考えます。

 ここでは「縄文ノート88 子ザルからのヒト進化説」について、次のような補足修正を行いました。ゴリラ・チンパンジーボノボだけでなく、サルから類人猿、ヒトへの進化の全体像を把握する必要があると考えます。

 補足修正は次のとおりで、続く見出しを「 家族は母と子ザルが生み出した」「10 まとめに」に修正しました。

 

8 子育てを助け合うサルたち:NHK「ワイルドライフ」より

8-1 メス同士で子育てを助け合うケニアのアビシニアコロブス

 5月31日のNHKワイルドライフの「野生の王国アフリカ『熱帯の森をサルが生き抜く!』」ではアフリカ高地湖水地方ウガンダのサルたちが高い密度で暮らす「サルの宝庫」と呼ばれるカリンズ森林保護区では体長40㎝ほどのレッドテイルモンキーと体長50㎝ほどのブルーモンキーが天敵・カンムリクマタカの襲撃を避け警戒の声を利用しあい、違う群れとの縄張り争いで勝つためにをるために協力しあい、行動を共にしていることや、ウガンダの西のケニア山の麓の熱帯雨林ではメス同士が子育てを助け合うアビシニアコロブスが紹介されていました。

 

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  体長60㎝ほどのアビシニアコロブスは1匹のオスと複数のメスからなる10匹ほどの単位で、メスザルが出産を手助けするとともに、出産後は母ザルが食事に時間をとって母乳がたくさんでるように周りのメスが赤ちゃんを抱いて手助けしたり、母親を亡くした子ザルが雨でぬれていると群れのメスが気付いて温めて守るなど、子育てを群れのメスが助け合っているのです。

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 レッドテイルモンキーとブルーモンキーの助けあいは後の人類の氏族・部族社会の共同体成立や、コロブスのメスザル同士の助け合いは人類の母系制社会の共同体成立の手掛かりになるものと考えます。なおコロブスのメスたちが血縁でないのか、それとも祖母や姉妹などの血縁関係があるのかどうかはわかりませんでした。

 

8-2 「ブラジル大西洋岸の森 小さなサル 家族の絆で生き残れ!」

 8月9日のNHKワイルドライフの「ブラジル大西洋岸の森 小さなサル 家族の絆で生き残れ!」では、ブラジル東海岸の町イリェウスの「マタ アトランイティカ(大西洋の森)」のキムネオマキザルは石を使ってやしの実を割り「南米のチンパンジー」という異名を持ち、中南米最大のキタムリキは群れの中には順位がなく平等で、別の群れとも決して争わず「世界一平和なサル」と言われています。

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 ライオンタマリンは赤ちゃんが生まれるとオスは赤ちゃんを抱きたくてしかたないようですが母親は拒絶しますが、3mもの大蛇が現れ子ザルが落ち母親が助けに降りると、家族はヘビの注意をそらそうと必死で鳴き、別のサルが安全な方へと母親を誘導し、家族全員で命を懸けて守るなど、家族で子育てします。

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 ウィキペディアによれば、体長25-31㎝で1頭のメスと主に2~3頭のオスが含まれる2~11頭の群れを形成し、1回に2頭の幼獣を年に2回に分けて産み、寿命は15年以上とされています。

 

8-3 アビシニアコロブス・ライオンタマリンとボノボから推定される人類誕生

 メスの子育てを他のメスが助けるケニアのアビシニアコロブスと、オスが助けるブラジルのライオンタマリンは前者はオス主導、後者はメス主導の群れですが、いずれも子育てと群れの天敵からの防衛を通した共同体と家族形成の同時進行の萌芽が見られ、コンゴボノボからヒトへの進化の道筋を示しているように思います。いずれも熱帯雨林に住みながら、アビシニアコロブス・ライオンタマリンとボノボの大きな違いは、後者が地上・樹上生活をしている点にあり、ここに人類誕生の鍵があるように思います。

 草原での狩猟と肉食によって共同体と家族が生まれた、というフィクションは棄却され、共同体・家族形成と言語コミュニケーションによる頭脳発達が先行し、その後に小川・沼での二足歩行と手機能発達が進み、糖質・DHA食によりさらに脳機能の向上があり、最後に草原に進出して体毛の消失になった、と考えられます。

 ゴリラ・チンパンジーボノボだけでなく、サルから類人猿の進化の全体像を把握する必要があると考えます。