ヒナフキンの縄文ノート

スサノオ・大国主建国論から遡り、縄文人の社会、産業・生活・文化・宗教などの解明を目指します。

縄文ノート131 「仮説ハンター」からの考古学・歴史学

 『サピエンス全史』批判から、少し、横道に逸れます。学生・高校生「ロボコン」のMCであり、「サイエンスZERO」(NHK・Eテレ)のMCであるタレントの小島瑠璃子さんが降板することになった3月27日の録画を昨夜見ましたので、関連して私の思い出を書いていきたいと思います。

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 ただ、記憶がとみにが衰えており、ひょっとしたら「ガリレオX」(BSフジ)か「コズミックフロント」(NHK-BS)だったかも知れないのですが、「素粒子物理学では全世界で毎日10~20個の仮説が生まれている」という研究者の発言を「こじるり降板」番組で思い出したので、私の印象に残っていたこの発言を紹介しておきたいと思います。若い研究者により「考古学・歴史学の分野では全世界で毎日10~20個の仮説が生まれている」ようなことがあるのでしょうか?

 「仮説検証型」の工学は「仮説命」みたいなところがあり、「仮説を立てて実験で証明する」ことに明け暮れています。私も「仮説は自由だ!」とばかりに古代史や人類史の「仮説ハンター」(化石ハンターからのもじり)として探究を進めてきました。

 私の仕事であったまちづくりの分野では、5年後・10年後の市町村計画や、具体的な戦略プロジェクト・事業計画をたてるために、ヒアリング調査・グループインタビュー調査、アンケート調査を必ず行いますが、その時「何かありませんか」と御用聞き調査を行ったのでは5年後・10年後の住民ニーズはつかめません。質問されて初めて意識した、考えた、質問されたから答えた、という人が多いからです。

 いろいろと将来像や問題解決案などについて仮説をたて、質問し、アンケート項目をたてる必要があるのです。その際、仮説的質問が間違って誘導的であったり、不十分であったりすれば、きちんとした調査にはなりません。検証は5年、10年の時間が立たないとできないのですが、仕事がリピートすれば、「仮説→調査→予測→計画」が正しかったということが認められたことになります。

 『スサノオ大国主の日国(ひなのくに)―霊(ひ)の国の古代史―』では、「委奴国王=スサノオ」とするか金印が発見された志賀島を本拠地としていた「委奴国王=綿津見3兄弟」とするか迷いましたが、前者仮説を立てて調べを進めると、総合的な「最少矛盾仮説」としてまとめることができました。最終的な検証はスサノオ大国主の墓を見つけ、発掘する必要があります。

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 『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(アマゾンキンドル本)では、「卑弥呼=アマテル3(代々襲名)」仮説をもとに、魏書東夷伝倭人条と古事記日本書紀の地名・神話分析、「正使陸行・副使水行」の行程分析、後漢王朝の「金印・ガラス壁・金銀珠龍文鉄鏡」出土地の分析により、総合的な「最少矛盾仮説」としてまとめました。あとは卑弥呼の墓を見つけて発掘して検証することですが、そのプロジェクトを立ち上げるには齢を取りすぎており、代わりに小説スタイルにしてまとめました。

 縄文社会論では、「縄文時代弥生時代古墳時代天皇家建国)」という子どもの時から納得できなかったドキドキハカ定説を捨て、「土器時代→鉄器時代」(土器鍋→鉄先鋤)という時代区分仮説を立てることにより、「縄文社会→スサノオ大国主建国」という総合的な「最少矛盾仮説」に到達することができました。その最終検証は大国主王墓の発見と発掘になります。

 日本列島人起源論では、「チンパンジー・ゴリラ居住地人類起源仮説」「ヒョウタン原産地縄文人ルーツ仮説」「海人族竹筏移動仮説」「イネ科植物単一起源仮説」「『主語-目的語-動詞』言語族移動仮説」をもとに、Y染色体D型・E型分布や宗教分析(霊信仰、神山天神信仰)、宗教・農耕語ドラヴィダ語(タミール語)などと合わせて総合的な「最少矛盾仮説」としてまとめました。その最終検証は、Y染色体D型の東南アジア・雲南山岳地帯での分布調査で可能になると考えます。

 限られた発掘資料から考古学は「帰納法」による分析にならざるをえず、「天皇中心史観」のイデオロギーと「記紀8世紀創作説」に導かれた文献歴史学は偏った定説からの「演繹法」の「つまみ食い古代史」にならざるをえず、どちらも1~4世紀の歴史の解明など不可能と考えます。

 これからの若い考古学者・歴史学者の皆さんは、「帰納法」「演繹法」の「重箱の隅研究」に止まることなく、「仮説検証法」の大胆な「仮説ハンター考古学・歴史学者」として、世界史にどんどん提案し、名を残す成果を上げていただきたいと心から願っております。

 世界の栄養学者や脳科学者、食物学者や農学者、霊長類研究者や文化人類学者、言語学者民俗学者宗教学者などと交流を重ね、古代史を面白くしたいとは思いませんか? 

 

□参考□

<本>

 ・『スサノオ大国主の日国(ひなのくに)―霊(ひ)の国の古代史―』(日向勤ペンネーム)

 ・『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(アマゾンキンドル本)

<雑誌掲載文>

 2017冬「ヒョウタンが教える古代アジア”海洋民族像”」(『季刊 日本主義』40号)

 2018夏「言語構造から見た日本民族の起源」(『季刊 日本主義』42号)

 2018冬「海洋交易の民として東アジアに向き合う」(『季刊日本主義』44号)

 2019春「漂流日本」から「汎日本主義」へ(『季刊 日本主義』45号)

<ブログ>

  ヒナフキンスサノオ大国主ノート https://blog.goo.ne.jp/konanhina

  ヒナフキンの縄文ノート https://hinafkin.hatenablog.com/

  帆人の古代史メモ    http://blog.livedoor.jp/hohito/

  邪馬台国探偵団         http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/

  霊(ひ)の国の古事記論 http://hinakoku.blog100.fc2.com/