ヒナフキンの縄文ノート

スサノオ・大国主建国論から遡り、縄文人の社会、産業・生活・文化・宗教などの解明を目指します。

縄文ノート176 世界の母系社会

 講演資料「縄文は母系制社会だった~『日本中央部縄文遺跡群』の世界遺産登録を考える」では、方法論として垂直軸(歴史軸)と水平軸(世界の民俗軸:女神信仰と母系制)の両方から縄文母系制社会を明らかしようとしましたが、後者の「世界の母系制社会」「世界の女神信仰」の資料づくりは間に合いませんでした。

 

 

 母系制が今も世界に残っていると初めて私が知ったのは、学生時代に探検部の友人たちから「ブータンには夜這い・妻問婚が残っている」と性的興味をひく話や顔がよく似ており、服装が左前の和服と同じで、数字が日本語とそっくりなどと聞き、何かのきっかけで中尾佐助氏(植物学者、照葉樹林文化論の提唱者)の本を読んでからでした。

 それを思い出しながら母系制社会をさいたま市図書館で検索すると、遠藤織枝著の『中国雲南 摩梭(モソ)族の母系制』とナディア・フェルキ著・野村真依子訳の『世界の母系社会』などがあり、その後、妻が興味を持ってこの2冊を購入していたのですが、この機会に紹介したいと思います。

 

 もともと歴史的に母系制であった社会が侵略戦争により女・子どもを奴隷化し、それを神の命令として奨励した旧約聖書教により父系制社会への転換が起りますが、これらの地域では、女神信仰や始祖女王の歴史の継承や、日本の漁村のように危険な漁や交易に出かける男に対し女性が家を守るという伝統が受け継がれたと考えられます。

 なお、世界の女神信仰については、次の機会にまとめたいと思いますが、日本では女神・稲荷神(大山祇の娘の神太市比売とスサノオの娘の宇迦之御魂(うかのみたま))を主祭神として祀る稲荷神社は2970社もあり、分祀社は32000社にものぼり、さらに屋敷神として祠などに祀っている家は無数にあり、私の住むさいたま市中央区の散歩道の古い農家や住宅には各家の北西隅に祀っているように、女神信仰は世界的にみても濃厚なのですが、その伝統は今や忘れら去られようとしています。―「縄文ノート38 霊(ひ)とタミル語pee、タイのピー信仰」参照

 

□参考□

<本>

 ・『スサノオ大国主の日国(ひなのくに)―霊(ひ)の国の古代史―』(日向勤ペンネーム)

 ・『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(アマゾンキンドル本)

 ・『奥の奥読み奥の細道』(アマゾンキンドル本)

<雑誌掲載文>

 2012夏「古事記」が指し示すスサノオ大国主建国王朝(『季刊 日本主義』18号)

 2014夏「古事記播磨国風土記が明かす『弥生史観』の虚構」(前同26号)

 2015秋「北東北縄文遺跡群にみる地母神信仰と霊信仰」(前同31号)

 2017冬「ヒョウタンが教える古代アジア”海洋民族像”」(前同40号)

 2017冬「スサノオ大国主建国論1 記紀に書かれた建国者」(『季刊山陰』38号)

 2018夏「スサノオ大国主建国論2 「八百万の神々」の時代」(『季刊山陰』39号)

 2018夏「言語構造から見た日本民族の起源」(『季刊 日本主義』42号)

 2018夏「スサノオ大国主建国論3 航海王・スサノオ」(『季刊山陰』40号)

 2018秋「『龍宮』神話が示す大和政権のルーツ」(『季刊 日本主義』43号)

 2018冬「海洋交易の民として東アジアに向き合う」(前同44号)

 2019春「漂流日本」から「汎日本主義」へ(前同45号)

<ブログ>

  ヒナフキンスサノオ大国主ノート https://blog.goo.ne.jp/konanhina

  帆人の古代史メモ          http://blog.livedoor.jp/hohito/

  ヒナフキン邪馬台国ノート      http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/

  霊(ひ)の国の古事記論       http://hinakoku.blog100.fc2.com/