ヒナフキンの縄文ノート

スサノオ・大国主建国論から遡り、縄文人の社会、産業・生活・文化・宗教などの解明を目指します。

縄文ノート138 縄文人の霊(ひ)宗教と『旧約聖書』

 楽天ブログ「NOWAR2022」の「26 ロシア兵の残虐性は『旧約聖書』ゆずり?」において、縄文人の女神・霊(ひ)信仰とそれを受け継いだ大国主の全ての死者を神として祀る「八百万神」宗教とはあまりにも異なるユダヤ・キリスト・イスラム教の聖典旧約聖書」について、ウクライナ戦争でのロシア兵の残虐行為から考えてみました。

 以下、参考のために転載しておきたいと思います。

 なお、本日アップした「27 ユダヤ教聖典の『旧約聖書』と『タルムード』の残虐性」と合わせてご覧になっていただければ幸いです。―記事一覧 | NoWar 2022 - 楽天ブログ (rakuten.co.jp)

 

      楽天ブログ「NOWAR2022 26ロシア兵の残虐は『旧約聖書』ゆずり?」

 トルストイは真面目に働き、小悪魔・悪魔(ロシア正教会の司祭や総主教)に騙されないロシア民衆を『イワンの馬鹿』の童話に書いて希望を託しており、私も同じでしたが、プーツァーリ・プーターリンのウクライナ侵攻をロシア国民の8割が支持し、ロシア兵が次のような残虐行為を行っていることに対し、なぜなんだと考え続けてきました。―楽天ブログ・NOWAR2022「25 『イワンのばか』の大悪魔の正体はロシア正教会総主教」参照

 ナポレオン・ヒトラーの相次ぐ侵略を受けて多くの犠牲者を出し、恋人を戦地に送り、失った女性の気持ちを「ともしび」や「山のロザリオ」「カチューシャ」で哀愁を込めて歌ったロシア人はどうなったのでしょうか?―楽天ブログ・NOWAR2022「24「山のロザリア」とロシア」参照

 

CNN.co.jp : ロシア軍に深く根付いた「残虐行為の文化」 - (3/3)  2022.04.07

ロシア軍が残虐行為を行う単純な理由 専門家が証言する「緩みきったロシア兵」の振る舞い(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース4/8(金)

ロシア軍、民間人を即決処刑、女性の皮膚を切り暴行…凄惨な戦争犯罪が明らかに (biz-journal.jp) 2022.04.04

ロシア軍が「数百件のレイプ」 ウクライナ大統領 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News4月13日

国際法を完全無視したロシアの残虐性、その歴史的背景(JBpress) - Yahoo!ニュース4/22(金)

ロシア兵を「残虐」にしたものはなにか ウクライナに学ぶ日本の安全保障 | | 森永卓郎 | 毎日新聞「政治プレミア」 (mainichi.jp)  2022年4月25日

世界を震撼させたウクライナ市民の虐殺 第一次世界大戦まで遡るロシア軍兵士「残虐性」の思想〈dot.〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース5/7(土)

許されざるロシア軍の暴虐に、国家による市民や兵士「命の軽視」の歴史 専門家の懸念(1/3)〈dot.〉 | AERA dot. (アエラドット) (asahi.com) 2022/05/07

 

 私が第1に考えたのは、ルーシ(キエフ大公国)がモンゴルの侵略・支配を受けたことにより異民族虐殺の文化を受け継いだ可能性です。「タタールのくびき」の裏返しです。

 第2は、ナチスドイツの「劣等民族スラブ人」虐殺を真似した可能性です。

 第3は、スターリンによる大粛清(記録だけで75万人)の影響を考えました。

 第4は、侵略軍はゲリラ的な抵抗にあい、ウクライナ住民とウクライナ兵の見分けがつかず、住民を無差別あるいは選別して殺戮してしまうことです。これは大日本帝国軍が中国や東南アジアでやったことであり、アメリカがベトナムイラクアフガニスタンで行った無数の例が示しています。

 第5は、ロシア軍が中世軍の伝統を残し、軍隊内のならず者を取り締まる軍律が厳しくない可能性です。織田信長の軍律の「一銭切り(一銭でも盗みを働けば死罪)」などは、実際には略奪が横行したことを示していますが、ロシア軍が「解放軍」としての思想性などない「中世的帝国軍」であることを示しています。

 第6は、貧富の差が激しく、貧しいロシア兵が豊かなウクライナ人・西欧への憎しみから、殺戮や強姦、略奪を行った可能性であり、ベラルーシからロシア兵が貴金属や電気製品の略奪品を故郷に行っていることが確認されていますし、占領した住宅内での略奪・破壊の痕跡が多くの写真から裏付けられます。

 第7として、私はトルストイがあげた「大悪魔=ロシア正教」について述べないわけにはいきません。

 ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『サピエンス全史』を批判する中で、カナン征服にあたってユダヤ人が異教徒殺戮を正当化するために「ヤハウェ神」を発明し、キリスト教の神「ゴッド・キリスト・精霊」、イスラム教の「アッラー」もそれを受け継ぎ、殺戮戦争を神の意志として行う文化が根強く西欧と東欧・中央アジアに残っていると考えるようになっています。

 ユダヤ教のこの「他民族殺戮神」の発明を誤魔化すために『サピエンス全史』を書いたユヴァル・ノア・ハラリ氏に対し、同じユダヤ系でありながらジャレド・ダイアモンド博士は『昨日までの世界 下』で旧約聖書の「申命記」(神命記を申命記としたのは、神=アマテラスと区別したのでしょう)の異教徒に対する残忍な内容を批判しています。

 私はダイアモンド博士の本を読むまで申命記のこのような内容は知りませんでいたが、ネットには申命記第20章が多く掲載されており、キリスト教徒にとっては常識なようです。申命記20章 | 大田原キリスト教会 (otawara-church.com)より引用します。アンダーラインは筆者です(以下同)。

 

 町を攻略しようと、あなたがその町に近づいたときには、まず降伏を勧めなさい。降伏に同意して門を開くなら、その中にいる民は、みな、あなたのために、苦役に服して働かなければならない

 もし、あなたに降伏せず、戦おうとするなら、これを包囲しなさい。あなたの神、主が、それをあなたの手に渡されたなら、その町の男をみな、剣の刃で打ちなさい

 しかし女、子ども、家畜、また町の中にあるすべてのもの、そのすべての略奪物を、戦利品として取ってよい。あなたの神、主があなたに与えられた敵からの略奪物を、あなたは利用することができる。

 非常に遠く離れていて、次に示す国々の町でない町々に対しては、すべてこのようにしなければならない。しかし、あなたの神、主が相続地として与えようとしておられる次の国々の民の町では、息のある者をひとりも生かしておいてはならない。すなわち、ヘテ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人は、あなたの神、主が命じられたとおり、必ず聖絶しなければならない。それは、彼らが、その神々に行なっていたすべての忌みきらうべきことをするようにあなたがたに教え、あなたがたが、あなたがたの神、主に対して罪を犯すことのないためである。

 

 さらにヨシュア記は次のように記しており、一部を紹介します。ヨシュア記(口語訳) - Wikisource 

 高校時代でしょうか、「ジェリコの戦い:Joshua fit the battle of Jericho」を何も知らずにジャズナンバーとして歌っていましたが、侵略を鼓舞する歌だったのです。『栄光への脱出』の主題歌「The Exodus Song」などもそうですが、知らず知らずのうちに「This land is mine God gave this land to me・・・」とイスラエルの侵略を支持するように洗脳されていたのでした。

 

 わたしのしもべモーセは死んだ。それゆえ、今あなたと、このすべての民とは、共に立って、このヨルダンを渡り、わたしがイスラエルの人々に与える地に行きなさい。

  あなたがたが、足の裏で踏む所はみな、わたしがモーセに約束したように、あなたがたに与えるであろう。

  あなたがたの領域は、荒野からレバノンに及び、また大川ユフラテからヘテびとの全地にわたり、日の入る方の大海に達するであろう。・・・

  ヨシュアが民に命じたように、七人の祭司たちは、雄羊の角のラッパ七本を携えて、主に先立って進み、ラッパを吹き鳴らした。主の契約の箱はそのあとに従った。

 そして町にあるものは、男も、女も、若い者も、老いた者も、また牛、羊、ろばをも、ことごとくつるぎにかけて滅ぼした

 そして火で町とその中のすべてのものを焼いた。ただ、銀と金、青銅と鉄の器は、主の家の倉に納めた。・・・

 イスラエルびとは、荒野に追撃してきたアイの住民をことごとく野で殺し、つるぎをもってひとりも残さず撃ち倒してのち、皆アイに帰り、つるぎをもってその町を撃ち滅ぼした

 その日アイの人々はことごとく倒れた。その数は男女あわせて一万二千人であった。

 ヨシュアはアイの住民をことごとく滅ぼしつくすまでは、なげやりをさし伸べた手を引っこめなかった。

 ただし、その町の家畜および、ぶんどり品はイスラエルびとが自分たちの戦利品として取った。主がヨシュアに命じられた言葉にしたがったのである。

 

 これらの旧約聖書ロシア正教会から学んだロシア兵にとって、殺戮、女子どもの奴隷化、略奪は神の命令として、当然の行為とみなしている可能性があります。

 ロシア正教会のキリル総主教(毎回「キルリ=切るり」と書きそうになります)は、3月10日世界教会協議会(WCC)総幹事代行のイオアン・サウカ氏が3月2日、キリル総主教宛てにウクライナへの攻撃を止めるために「対話と交渉を通じて平和をもたらす努力」を求めた書簡に対し、「あからさまにロシアを敵とみなす勢力がその国境に近づいてきた」「NATO加盟国は、これらの兵器がいつか自分たちに対して使われるかもしれないというロシアの懸念を無視して、軍備を増強してきた」「ウクライナウクライナに住むロシア人を精神的にロシアの敵に作り変えようとした」とのべ、4月23日には「できるだけ早く内戦が終わり待望の平和が訪れますように」とプーツァーリ・プーターリンのウクライナ併合を支持する発言を行っています。

          

 「21 ロシア正教会首長プーチン宗教戦争」でも紹介しましたが、4月24日のBS-TBS報道1930(松原耕二・堤伸輔・パトリック・ハーラン)は「ロシア正教のトップは元KGB?“信仰”と“侵攻” プーチン大統領と宗教の蜜月」では、ロシアにおいてプーツァーリが積極的に宗教軍事国家化を進め、かつての大日本帝国兵士を神社が鼓舞して戦場に送り出したのと同じように、司教がロシア兵を祝福して戦場に送り出すのです。

     

     

 兵士たちは旧約聖書に書かれた神の命令を伝える司祭たちによって、カナンなどを征服したイスラエル兵と同じように、男は殺し、女子どもは奴隷にし、略奪することに疑問は感じないでしょう。「汝の敵を愛せよ」としたキリストの教えとは明らかに矛盾しています。

 また、ウクライナ正教会ロシア正教会から独立の動きを見せているのに対し、ロシア正教会キリル総主教はウクライナでの宗教支配を維持するために旧ロシア帝国時代のように、プーツァーリウクライナ支配を支えているのです。

     

 神を信じる人の割合が40%ほどの日本人にはなかなか理解しにくいのですが、神の存在を信じる人が70%を超えるロシアとウクライナの戦争は宗教戦争の要素も持っている可能性がありそうです。日本の若者が信心深くなっている…旧共産陣営ロシア・ベトナムと並び「神の存在を信じる人」増加の謎 社会主義の凋落が生む「宗教回帰」 (4ページ目) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)参照

  

 さらに、ヒトラーカトリック信者であり、ドイツ人がカトリックプロテスタントであり、そのナチスと戦ったロシア正教会の信者にはプーツァーリの「反ナチ」煽動に容易に同調した可能性が高いと考えられます。

 私はこれまで反戦平和・人権問題に真剣に取り組んできたキリスト教の牧師・信者の人たちを多く知っていますが、旧約聖書聖典とし、神の命令として行われたユダヤ人の侵略・殺戮・奴隷化・略奪の歴史を受け継ぐのかそれとも批判するのか、侵略軍の戦意を高める神を命令をそのまま信じるのかどうか、問う必要があるのではないでしょうか?

 ユダヤ人・スラブ人差別・迫害・虐殺を行ったヒトラーナチス党員がカトリックプロテスタント信者であった事実からこそ、ユダヤ人やスラブ人は旧約聖書聖典とすることに疑問を持つべきなのではないでしょうか?

 なお、大日本帝国軍が「世界を照らす(支配する)アマテラスの子孫である天皇」を神として侵略戦争に国民を動員したことの反省は、未だに伊勢神道では行われておらず、天皇・政府関係者の伊勢神宮参拝が続いていることからみても、戦争に果たす宗教の役割を問うことは日本人にとっても大きなテーマといえ

ます。