ゴリラ研究の山極寿一氏の本を数冊読みましたが、ゴリラからいきなりヒトの家族(父系制)や暴力・戦争、和平などに結び付けた話に入るのでいささかビックリし、スサノオ・大国主建国論から縄文社会研究、縄文人の起源、人類の誕生へと考察を進めてきた私としては、彼とは逆にヒトから類人猿に考察を進めて見てみようと思い、子どもの頃の記憶や子ども・孫、子どもたち(障がい児をふくむ)の成長をたどって考え「縄文ノート88 子ザルからのヒト進化説」を書きましたが、大事な点を書き落としていました。
チンパンジーの成長について調べてメモを作成し、それを前提にして書いたのですが、「子ザル」(正確には類人猿とすべきですが)のことを書いておかないと理解されにくいことに気づきましたので、以下の追加・修正を行いました。
ずっと「犬は人間の2~3歳児の知能」と言われていますが、チンパンジーもヒトもやはり3歳児までに基本的な知能は形成され、そこから教育(体験教育と指導)によって大きな差がでてくるのではないでしょうか。
以下が、補足修正点です。
6 チンパンジーの成長
釧路動物園のHPによれば、チンパンジーの発育段階は次のとおりです。―https://www.city.kushiro.lg.jp/zoo/shoukai/0039.html
➀乳幼児=5歳まで、
➁コドモ=5~7歳、
➂青年=7~10歳(♀)、10~12歳(♂)、
④オトナ間近の青年=10~13歳(♀)、12~15歳
⑤オトナ=14歳以上(♀)、16歳以上(♂)
ヒトの場合、小学校高学年、10~13才頃に初潮をむかえる女子が多いとされ、小4の同級生が初潮を迎えて女教師がバタバタしていたのを思い出しますが(当時は出血が何のことか理解できませんでした)、チンパンジーの「青年」とあまり変わらないようです。孫娘が私と風呂に一緒に入らなくなったのも4年生でした。
なお、京大霊長類研究所HPの「チンパンジー・アイ」の「人間とチンパンジーの子育ての違い」(松沢哲郎2007.6:https://langint.pri.kyoto-u.ac.jp/ai/ja/k/066.html)も「チンパンジーの離乳は遅い。乳離れは4~5歳ごろ」としており、釧路動物園と同じです。
しかしながら、京大理学研究科 (現 総合地球環境学研究所研究員)の松本卓也氏の2017年3月20日付の「American Journal of Physical Anthropology」誌(電子版)によれば、チンパンジーは3歳前後に「自力で物理的に処理の難しい食べ物を採食する割合が高くなる」とされており、離乳食を与えられる人間よりも離乳は遅いものの、ヒトよりも身体的成長が早い分、食の自立は早いといえます。
いずれにしても、3~5歳までに犬も類人猿も人間も頭脳の発達は急速に進み、身体的自立の早い野生の類人猿は3歳ころから「コドモ」となり、母親から離れて子ども同士てエサを探して活発にチャレンジし始めた可能性が高く、急速に知能の発達が進んだ可能性があります。
大人のオスたちが槍を持って狩りを行い、メスに肉を贈ることによって二足歩行と手が物を持てるようになってサルからヒトへの進化が起きた、という「肉食キン肉マン進化仮説」でNHKスペシャルの『人類誕生 第1集 こうしてヒトが生まれた』などは製作されていますが、「講釈師、見てきたように嘘を言い」は、いまや「人類学者・ディレクター、見てきたように嘘を言い」に置き換えるべきではないでしょうか?