ヒナフキンの縄文ノート

スサノオ・大国主建国論から遡り、縄文人の社会、産業・生活・文化・宗教などの解明を目指します。

縄文ノート17 縄文社会研究会・東京の八ヶ岳合宿報告

 コロナで休んで以来、さらに8月3~5日の縄文社会研究会(東京)の八ヶ岳合宿の準備とまとめに1か月以上、かかりきりになりました。

 蓼科山の神那霊山(神奈火山)信仰が縄文時代に遡ることを阿久遺跡の立石・石列と中ツ原8本柱巨木建築から確認するとともに、神籬(霊洩木)信仰、御柱信仰、水眼(すいが)信仰、土偶・土器の蛇紋、出産型土器、乳幼児の埋甕、女神像、石棒(金精)信仰、立石を中心とした円形集落配置などと、スサノオ大国主時代の八百万神信仰や御柱祭などから、縄文時代から1~4世紀のスサノオ大国主時代へと続く霊(ひ)信仰の「海神・水神・地神・山神・木神・天神・蛇神・女神・性器神」宗教について解明するとともに、「日本中央縄文文明」の世界遺産登録について議論しました。

 世界は今、グローバリズム(世界単一市場化)の不均等発展の中で、アメリカ・トランプ大統領のもとで「ユダヤキリスト教右派文明」対「イスラム教文明」「中華社会主義文明」の対立の様相を見せています。その中で縄文1万年の歴史を通して、古代専制国家の大河治水による灌漑農耕の「世界4大文明」とはことなる「共同体社会文明」を明らかにし、世界の共通価値として解明したいと考えています。

 下記の資料のうち、4・5・7・8・11は新たに書いたもので、他は、以前、研究会で報告し、このブログでも紹介したものに加筆・修正したものです。

 順次、ブログで紹介するとともに、古いものを修正したいと思います。なお、ご興味がおありでしたらギガファイル便で送りますのでお知らせください(ブログ又はフェイスブックメッセンジャーで)。

 また、年4回ほど東京で会を開いており、いずれお知らせしますのでお問い合わせいただければと思います。 雛元昌弘

 

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諏訪大社前宮

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霊(ひ)信仰図


<合宿での主な議論>

① 神長官守矢家の神木「みさく神」の神籬(霊洩木)信仰が御柱祭に繋がっている。

② 阿久遺跡の立石・石列、中ツ原8本柱巨木建築は蓼科山を向いており、神那霊山(神奈火山)信仰は縄文時代に遡る。

③ 中ツ原8本柱巨木建築は蓼科山信仰の楼観神殿であり、後の出雲大社本殿、邪馬壹国の楼観に繋がっている。

④ 縄文時代地母神・女神・性器・山神信仰は、神長官守矢家の神那霊山(神奈火山)信仰と水眼(すいが)信仰、神木信仰、御柱信仰は、霊(ひ:祖先霊)信仰の海神・水神・地神・山神・天神信仰として現代に続いている。そして、お山信仰の「山・鉾・屋台行事」はすでにユネスコ無形文化遺産に登録されている。

⑤ 芋栗5穀(粟・黍・稗・麦・豆)の縄文農耕によりこの地には海人族の縄文文明が花開いている。縄文農耕に不可欠な鳥獣害対策の黒曜石の鏃は各地と交易され、「内陸部の黒曜石・縄文5穀」と銚子の「塩・コハク交易」が行われている。

⑥ 土器の底の「穀物の煮滓の炭化」「餅状炭化食品」「パン状炭化物」「炭化麦」「アワ状炭化種子」や「土器底のダイズの圧痕」からみて、縄文人は豊かな安定した、健康的な「土器鍋食」をとり、それを受け継いだ「和食」もまたユネスコ無形文化遺産に登録されている。

⑦ 石棒・環状列石・女神像・土偶・顔面土器・耳飾り・ペンダントなどは、海人族の妻問夫招婚の母系制社会を示しており、後の1~5世紀の邪馬壹国をはじめとする各地の女王国に引き継がれている。「霊継ぎ」(ひつぎ)は現代で言えば「命=DNAのリレー」であり、「人(霊止)・彦(霊子)・姫(霊女)・聖(霊知)・卑弥呼(霊御子)」や生類の命を大事にする母系制社会の文明・文化・宗教として現代的価値を有している。

⑧ 霊・霊継(ひ・ひつぎ)信仰と八百万神信仰、神那霊山(神奈火山)信仰、神籬(霊洩木)・御柱信仰、産霊(むすひ・むすび)の縄文デザイン、土偶・土器の蛇紋と出雲大社の海蛇・龍蛇神信仰、洩矢(守矢・守屋)・建御名方伝承、中ツ原8本柱建築・出雲大社・邪馬壹国楼観の同一建築思想・技術、塩尻の平出遺跡の出雲由来地名、石器・木器農具から鉄器農具への連続性などは、縄文時代内発的発展として1~2世紀のスサノオ大国主の建国が行われたことを示している。

⑨ 縄文土器・女神像の蛇紋が出雲大社の海蛇(龍蛇神)信仰や大神大社の蛇神信仰に繋がっているように、縄文土器の多様な模様は「縄文Emoji(絵文字)」の可能性があり、象形文字である漢字の活用(倭風漢字用法)に繋がっている。

⑩ イギリスのストーンサークル文明、古エーゲ文明(キクラデス文明)、日本列島文明、マヤの祭壇文明の4つの「共同体社会文明」の1つとして、「日本中央縄文文明」は世界遺産登録の条件を満たしている。「山・鉾・屋台行事」「和食」のユネスコ無形文化遺産登録や現代の祭りと連携した、ソフト・ハード(遺跡遺物)の取り組みが課題である。

 

<合宿資料一覧>

八ヶ岳縄文遺跡見学メモ(2019年、私が同窓会で各施設を見学した感想文。今回の見学地の紹介)

大阪万博の「太陽の塔」「お祭り広場」と縄文(縄文人は太陽信仰か霊(ひ)信仰か、を岡本太郎氏の4つの顔の解明と合わせて考察)

3「人類の旅」と「縄文農耕」と「三大穀物単一起源説」(「肉食人類」説から、「穀実魚食食の海人族」への転換を提案)

4縄文農耕について(補論;縄文5穀・芋焼畑農耕」について、言語論・記紀分析・民俗・民族移動・稲の道から補強)

5縄文農耕から「塩の道」「黒曜石産業」考(「糖質・塩分食」「鳥獣害対策の黒曜石産業」から日本中央部縄文文明を解明)

6縄文からの「日本列島文明論」(中華社会主義文明、ユダヤキリスト教文明、イスラム教文明の対立の中での「共同体社会文明論」)

7縄文の「女神信仰」考(女神信仰は「地神(地母神)信仰」を示し、紀元前後の各地の女王国や神社の女性祭神に継承)

8「神籬・神殿・神塔」考(直列型・環状型・長方型の縄文列柱は、紀元1世紀前後からの「神籬(ひもろぎ)・神殿・神塔」に継承)

9霊(ひ)継ぎ宗教(金精・山神・地母神・神使文化)について(石棒・円形石組などの地神(地母神)信仰は、金精信仰などとして現代に継承)

10「日本中央縄文文化」の世界遺産登録をめざし(古代専制国家の「4大世界文明」以前の「共同体社会文明」を明らかにする世界遺産登録の提案)

11「縄文社会研究会八ヶ岳合宿 見学資料」

 

<合宿後資料一覧>

12「蓼科山を神那霊山(神奈火山)とする天神信仰について(中ツ原遺跡の8本巨木柱建築を神那霊山信仰の宗教施設とし、縄文とスサノオ大国主建国の連続性を解明)

13「『縄文6本・8本巨木柱建築』から『上古出雲大社』へ」(200207の「48mの『古代出雲大社』は廻り階段・スロープでは?」をもとに、縄文巨木建築と上古出雲大社が同じ宗教施設であることを解明)

14「八ヶ岳合宿報告(メモ)(御柱神籬(霊洩木)論、神那霊山信仰論、中ツ原6本柱楼観神殿論、縄文農耕論、和食に繋がる縄文土器鍋食論と縄文甘味料、石棒・環状列石・女神像・土偶・顔面土器・耳飾りからの母系制社会論、縄文と出雲を繋ぐ蛇紋・地名考、縄文Emoji(絵文字)説、日本文明論と世界遺産登録、縄文文化韓国起源説など見学・議論のまとめ)